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【PMBOK第8版】ガバナンスと他の領域との相互作用〜変更時の「振り返り」が鍵〜

PMBOK第8版のガバナンス・パフォーマンス領域を読み解くシリーズ。今回は「2.1.8 他の領域との相互作用(Interactions With Other Domains)」について解説します[1]Project Management Institute, Inc., The Standard for Project Management and A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK® Guide) – Eighth Edition, 第2部 セクション2.1.8 … Continue reading

これまでガバナンスの様々なプロセス(計画、監視、変更、終結など)を学んできましたが、ガバナンスはプロジェクト内で「独立した機能」として存在するわけではありません。
プロジェクトが価値を提供し、あちらを立てればこちらが立たずといった「トレードオフ」のバランスを最適に取るためには、ガバナンスが他のすべてのパフォーマンス領域と相互に作用し合う必要があります。

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このサイトの運営者

山脇 弘成(SSAITS代表)

PMP®有資格者・Webプロジェクトマネージャー
大手メディアや官公庁のWebプロジェクト実績多数。
「技術」だけでなく「対話」を重視し、御社の「ほんとは、こうしたかった」を形にします。

ガバナンスと6つのパフォーマンス領域の相互作用

PMBOK第8版では、ガバナンス領域が他の6つの領域とどのように関わり合っているかが明確に整理されています。

スコープ(Scope)との相互作用

プロジェクトの「スコープ(範囲)」には、プロジェクトが提供するコアとなる価値が存在します。そのため、ガバナンスとの相互作用は最も重要とされます。コントロールが厳格であれ非公式であれ、スコープに対するガバナンスの決定はプロジェクトの命運を分けます。

スケジュール(Schedule)との相互作用

プロジェクトという投資の価値は、「時間(タイミング)」に非常に敏感です。適切なガバナンスはプロジェクトのスピードと有効性を向上させますが、不適切なガバナンス(過剰な承認プロセスなど)はプロジェクトを遅らせ、非効率を招きます。

財務(Finance)との相互作用

すべてのプロジェクトは投資であり、「投資額(コスト)」にも敏感です。ガバナンスのあり方は、予算の超過(オーバーラン)や予算の未消化(アンダーラン)の防波堤として直接的な影響を与えます。

ステークホルダー(Stakeholders)との相互作用

適切に適用されたガバナンスは、すべてのステークホルダーが「適切なタイミングで関与すること」を保証します。関係者が状況を正しく把握し、必要な時に意見やアドバイスを提供できるサポート体制を作ります。

資源(Resources)との相互作用

作業の完了は、「適切な資源(人やモノ)」が「適切な優先順位」で「適切なタイミング」に割り当てられるかに依存しています。ガバナンスは、特定のプロジェクト内だけでなく、組織全体でリソースがどう最適に配分されているかを監視します。

リスク(Risk)との相互作用:

すべてのプロジェクトにはリスク(脅威と機会)が存在します。ガバナンスは、組織の戦略的目標に合わせて「リスク調整後リターン(リスクを考慮した上での見返り)」を最適化します。たとえば、リスク軽減に余分な費用がかかったとしても、それがステークホルダーの信頼や安全性の向上に繋がり、プロジェクト全体の結果を高めるのであれば、その支出は「価値がある」と判断されます。

【SSAITSの視点】「何かを変えたら、ガバナンスを振り返る」

今回PMBOKが示している通り、ガバナンス領域は他の領域に対して一方的にルールを押し付けるものではなく、「相互に影響を与え合っている(双方向の矢印である)」という視点が非常に重要です。

プロジェクトマネジメントの現場では、スコープの拡大、スケジュールの遅延、リソースの不足など、日々さまざまな領域で「変更」や「トラブル」が発生します。
多くの人はその起きた問題の対処(火消し)だけで手一杯になってしまいますが、優秀なプロマネはそこで一歩立ち止まります。

「他の領域にこれだけの変更があったということは、現在の『ガバナンスのルール』にも影響が出ているのではないか?」と振り返るのです。

たとえば、スケジュールを急遽早めることになった(スケジュールの変更)のであれば、これまで通りの「CCB(変更管理委員会)を通す厳格な承認プロセス」のままでは間に合わなくなるかもしれません。その場合、ガバナンスのルール自体をより「ライトウェイト(適応型)」に調整(テーラリング)し直す必要があります。

他の領域の変化を察知し、自らの統治機構(ガバナンス)が今のプロジェクトに最適かどうかを常に振り返ること。これこそが、プロジェクトを真の成功(価値提供)へと導く鍵となります。

1 Project Management Institute, Inc., The Standard for Project Management and A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK® Guide) – Eighth Edition, 第2部 セクション2.1.8 および Table 2-4(35-36頁)より筆者要約・翻訳。以下、PMBOK第8版(英語版)と略記。
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