2025年にリリースされたプロジェクトマネジメントの国際標準「PMBOK第8版」でも、AI(人工知能)の活用が明確に言及されるなど、LLM(大規模言語モデル)の発展は私たちのデスクワークに革命を起こし続けています。
しかし一方で、現場からは「結局のところ、AIってウチの業務で何ができるの?」という声も数多く聞こえてきます。
実は、この「AIに何ができるの?」という質問に答えるのは、非常に難しいのです。
「文章や画像が簡単に作れますよ」と答えると、「なんだ、それくらいなら今の業務には必要ないな」と関心を持たれません。
かといって、「私はAIを使って独自の業務効率化アプリを開発しまして……」と専門的な話をすると、「難しそうだし、ウチには関係ない」とそっぽを向かれてしまいます。
最近のChatGPTやGeminiは本当になんでもできる万能な存在ですが、それゆえに「自分たちのビジネスに導入して、どんな具体的なメリットがあるのか?」がイメージしづらくなっているのが現状です。
そこで今回は、「AIで何ができるのか皆目見当がつかない」という方に、下手なAI解説本よりもおすすめしたい「意外な一冊」とその活用法をご紹介します。
名著『退屈なことはPythonにやらせよう』を「カタログ」として使う

おすすめしたいのは、AIの本ではなく、『退屈なことはPythonにやらせよう ―ノンプログラマーにもできる自動化処理プログラミング』という書籍です。
この本はタイトル通り、プログラミング言語の「Python」を使って、人間の創造性を奪うような退屈な繰り返し業務を自動化しよう、という趣旨の名著です。PDFからのテキスト読み取り、Webサイトからの情報収集(スクレイピング)、ExcelやWordの操作など、実務で使えるコードがふんだんに紹介されています。
非常に人気が高く、2026年には待望の日本語版「第3版」も発売されます。初版で562ページだったボリュームは、第3版ではなんと800ページという大作になっており、まさに「業務効率化のカタログ」としては最大規模を誇ります。
Pythonにやらせなくても、AIが「直接」やってくれる時代

「えっ、AIを使いたいのにプログラミングの本を読むの?」と思われたかもしれません。
ご安心ください。この本を読んで、Pythonを勉強する必要はまったくありません。
なぜなら、この本に書かれている自動化処理のほとんどは、今やAIが直接処理してくれるか、あるいはAIが代わりにPythonのコードを書いて実行してくれる時代になったからです。
むしろ、AIを使えば本の内容以上のことが可能です。「PDFのテキストを抽出する」だけでなく「ついでに要約と翻訳もして」と頼めますし、「Excelを操作する」だけでなく「この要件を満たすVBAマクロを組んで」とお願いするだけで、一瞬でコードが完成します。
つまり、この本は「AIにお願いできる業務の最強のアイデア集(カタログ)」として使えるのです。
パラパラとページをめくり、「あ!このExcel処理、うちの部署でも毎月やってるな」というものを見つけたら、Pythonのコードは無視して、そのままChatGPTやGeminiに聞いてみてください。
「Pythonで○○ができるらしいけど、あなたにもできますか?」と質問すれば、彼らは喜んで「Yes」と答え、具体的な解決策を提示してくれるはずです。
さいごに
「AIで何ができるかわからない」という悩みは、裏を返せば「自分たちの業務のどこを改善すべきか、まだ明確に言語化できていない(あたりをつけられていない)」状態だと言えます。
まずは『退屈なことはPythonにやらせよう』のようなカタログを眺めて、「これならウチでもできそうだ」というあたりをつけてみてください。
具体的なイメージを持ってAIに指示を出すことこそが、これからのAI時代において、プロジェクトマネージャーやビジネスパーソンが身につけるべき第一歩なのです。

