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『イン・ザ・メガチャーチ』から学ぶ5つの「ファンダム」気質とは?熱狂を生み出すマーケティングの裏側

現代のマーケティングやエンターテインメントを語る上で欠かせないキーワード、それが「ファンダム(Fandom)」です。

ファンダムとは、特定の対象(アイドル、アーティスト、アニメ、あるいはブランドなど)に対する「熱狂的なファン集団やそのコミュニティ」を指す言葉です。単に商品を買うだけでなく、ファン同士で繋がり、自主的に魅力を発信し、時には運営側にも影響を与える強力なエコシステム(生態系)として機能します。

今回は、2026年の本屋大賞を受賞した朝井リョウ氏の小説『イン・ザ・メガチャーチ』から、この複雑なファンダムの構造を紐解いていきます。

作中において、『イン・ザ・メガチャーチ』の主人公の一人である久保田慶彦が受けたレクチャーをもとに、ファンダムを構成する「5つの気質」をまとめていきましょう。

目次
このサイトの運営者

山脇 弘成(SSAITS代表)

PMP®有資格者・Webプロジェクトマネージャー
大手メディアや官公庁のWebプロジェクト実績多数。
「技術」だけでなく「対話」を重視し、御社の「ほんとは、こうしたかった」を形にします。

ファンダムを構成する5つの気質

ファンダムは、決して単一の感情を持った人々の集まりではありません。作中では、主に以下の5つの異なる「気質」を持った層が混ざり合って形成されていると分析されています。

1. プロデューサー気質

プロデューサー気質の図解

知識と経験をもとに、俯瞰的な視点からグループを評価する層

  • 特徴: 界隈を長く追っており、知識や経験が豊富。SNSの更新頻度やフォロワー数が多く、発信力・影響力が高い。
  • 行動: 運営に対して辛口な評価を下したり、大喜利的に楽しんだりする。
  • 消費傾向: グループが提供する「物語(エモさ)」には没頭せず、常に冷静なため、グッズやCDの大量購入といった消費行動は避ける傾向にある。

2. アナリスト気質

「アナリスト気質」の図解

あらゆる事象を数値化して公開する、データ至上主義の層

  • 特徴: ライブ会場のキャパシティやチケット倍率、CD売上、MVやサブスクの再生回数などのあらゆるデータを精査し、素早く正確に報告する。
  • 行動: 過去の作品や、他グループ(他事務所)のデータと比較して客観的な分析を行う。
  • 消費傾向: プロデューサー気質と同様に、グループの「物語」には没頭せず、分析的な視点を楽しむ。

3. 学級委員気質

「学級委員気質」の図解

マナーやルール、倫理観を第一優先とするクリーンな層

  • 特徴: 運営の不手際や、時代遅れな歌詞、露出の多い衣装などを常に厳しくチェックする(減点方式の評価)。海外と日本の比較など、グローバルな意識も強い。
  • 行動: 自身の持つ「加害性」に敏感であり、オタク的な消費行動と真剣に向き合い、倫理的にクリーンな推し活を望む。
  • 消費傾向: 運営には批判的になりがちだが、意外と戦略や意図を汲み取りやすい面も持ち合わせている。

4. 疑似恋愛気質

「疑似恋愛気質」の図解

感情を全振りし、「物語」に最も深く没頭する層

  • 特徴: いわゆる「ガチ恋」「リアコ」と呼ばれる、メンバーへの愛を極める層。感情の起伏が激しく、常にジェットコースターに乗っているような状態。
  • 行動: オフライン・オンライン問わずメンバーとの接触イベントに全力を注ぎ、秒単位で動画をスクリーンショットするなどのすさまじい熱量を持つ。
  • 消費傾向: CDやグッズを大量に購入し、個人の熱量(消費活動)としては最も高い。

5. 信徒気質

「信徒気質」の図解

外部からの批判をエネルギーに変える、熱狂の中核を担う層

  • 特徴: ファンダムにおいて最も熱量が高い集団の中核。周囲から批判・否定されたり、迫害されたりするほど「同志との絆」が強固になるという特殊な性質を持つ。
  • 行動: 「我々の発信に気づかない世の中が間違っている」という強い開拓者精神(使命感)を持ち、SNS等で熱烈な布教活動を行う。
  • 消費傾向: 狭く深い対象に対して猛烈に時間とお金を投資し、集団の「兵力」として行動する。

まとめ:ファンダムの生命線は「信徒」の獲得

このように多様な気質が混ざり合うファンダムの中でも、もっとも重要なのは「信徒気質」です。この「信徒」をどれだけ獲得できるかが、アイドルグループであれビジネスのサービスであれ、今後運営を維持していけるかどうかを大きく左右します。

主人公の久保田は、この強固な信徒を獲得するために、アイドルグループ「Bloome(ブルーム)」をプロデュースする緻密な脚本を考えます。

そして、信徒の具体的なモデル(ペルソナ)として、Bloomeにすでにドはまりしている「ちゃみする」という一人のSNSアカウントに目をつけ、彼女の行動を徹底的に追いかけていきます。

仕掛ける側の久保田と、熱狂する側の「ちゃみする」。
さて、この二人の行動は、物語の中で一体どこで結ばれるのでしょうか?現代の熱狂の裏側を描く極上のエンターテインメント、ぜひ『イン・ザ・メガチャーチ』を読んで、その結末を確かめてみてください!

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