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【PMBOK第8版】リーン・スケジューリングとは?無駄を省き「価値」を最短で届ける手法

PMBOK第8版のスケジュール・パフォーマンス領域に登場する、スケジューリング手法の一つ「リーン・スケジューリング(Lean Scheduling)」

PMBOKでは、この手法を「オンデマンド・スケジューリング(オンデマンド・デリバリー)や、リーン・プロジェクト・デリバリーの原則に基づいた、無駄を徹底的に排除して価値を高めるための手法」と定義しています[1]Project Management Institute, Inc., The Standard for Project Management and A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK® Guide) – Eighth Edition, 第2部 … Continue reading

横文字や専門用語が多くて難しく見えますが、実はWeb開発やITの現場で私たちが日常的に取り入れている「ある思考法」に非常に近い概念です。今回はこの手法の本質を分かりやすく解説します。

目次
このサイトの運営者

山脇 弘成(SSAITS代表)

PMP®有資格者・Webプロジェクトマネージャー
大手メディアや官公庁のWebプロジェクト実績多数。
「技術」だけでなく「対話」を重視し、御社の「ほんとは、こうしたかった」を形にします。

リーン・スケジューリングの2つの大原則

リーン・スケジューリングの2つの大原則

リーン(Lean)とは「贅肉のない、無駄のない」という意味です。元々はトヨタ生産方式から生まれた考え方ですが、PMBOKでは以下の2つを基本原則としています。

1. 無駄の最小化と価値の最大化

これは、スタートアップ界隈でよく言われる「リーン・スタートアップ」「MVP(実用最小限の製品)」の考え方と根っこは同じです。

たとえば「自社商品を知ってもらうためのWebサイト」を作るプロジェクトがあったとします。
ここで最も「価値(利益)」を生み出すのは、商品の魅力が伝わる「商品詳細ページ」「購入への導線」です。「TOPページに流すかっこいいイメージ動画」は、価値を生むとは限らない「おまけ」に過ぎません。

リーン・スケジューリングでは、この「おまけ(無駄になるかもしれない過剰な作り込み)」を一旦後回しにし、利益の出せる実用可能なコア機能(MVP)を最短コースで完成させるためのスケジュールを最優先で組み立てます。

2. プル型(オンデマンド)アプローチ

もう一つの重要な概念が、「プル型(Pull-System)」および「オンデマンド・デリバリー」です。

  • プッシュ型(従来): マネージャーが「この日までにこれをやれ」と上からタスクを押し付ける方式。
  • プル型(リーン): チームメンバーの余力(キャパシティ)が空いたタイミングで、自分たちでタスクを引き受ける(Pullする)方式。

オンデマンド(要求があった時に提供する)とは、「後工程の人が必要としたタイミングで、前工程の人がパスを出す」という仕組みです。
タスクを無理やり押し付けると、どこかで作業が詰まり(ボトルネック)、待ち時間という「無駄」が発生します。これを防ぐために、「カンバン方式」などを使い、メンバー同士の合意のもとでスムーズにタスクを「手渡し(ハンドオフ)」していくのがリーン・スケジューリングの特徴です。

スケジュールを構築する「3つのステップ」

このリーン・スケジューリングは、いきなり詳細なガントチャートを引くことはしません。以下の3つのステップを通じて、段階的に計画を組み立てます。

  1. マスター・スケジューリング(大枠): プロジェクト全体の主要なマイルストーンや、最終的な全体目標を設定します。
  2. フェーズ・スケジューリング(中枠): 「要件定義フェーズ」「開発フェーズ」など、特定の段階においてどのような手順で作業を進めるかを詳細化します。
  3. ルックアヘッド計画(直近): 「直近の数週間」の作業だけを正確に見通します。チーム全員で「プル・プランニング・セッション」を開き、ここで誰がどうタスクを受け渡すかを合意し、作業を止める障害(阻害要因)を事前に潰しておきます。

【まとめ】リーン・スケジューリングの実践

PMBOKが語る「リーン・スケジューリング」を実務レベルに要約すると、以下のようになります。

  1. プロジェクトの中で「絶対に価値(利益)を生む部分」を見極め、無駄な機能の作り込みをスケジュールから外す(最短コースを設計する)。
  2. マネージャーが一方的にタスクを押し付けるのではなく、直近数週間の作業はチーム全員で話し合い、スムーズに手渡しできる「プル型」のスケジュールを組む。

「とにかく全部を予定通りに作る」のではなく、「一番価値のあるものを、手持ち無沙汰や待ち時間の無駄をなくして最短で届ける」。これがリーン・スケジューリングの真の目的です。

1 Project Management Institute, Inc., The Standard for Project Management and A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK® Guide) – Eighth Edition, 第2部 セクション2.3.3.6(57頁)より要約・翻訳。以下、PMBOK第8版(英語版)と略記。
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