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【PMBOK第8版】位置境界スケジューリング(LBS)とは?抽象的な概念を具体例で超解説

PMBOK第8版のスケジュール・パフォーマンス領域に、「位置境界スケジューリング(LBS:Location-Based Scheduling)」という手法が登場します[1]Project Management Institute, Inc., The Standard for Project Management and A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK® Guide) – Eighth Edition, 第2部 … Continue reading

PMBOKの解説や要約を読むと、「特定の作業場所に対して物量を配分し、資源を統合管理する……」といった非常に抽象的な説明がなされており、「結局、具体的に何をすればいいの?」と戸惑う方も多いでしょう。

今回は、この難解な「LBS」の概念を、具体的なストーリーに置き換えて超・分かりやすく解説します。

目次
このサイトの運営者

山脇 弘成(SSAITS代表)

PMP®有資格者・Webプロジェクトマネージャー
大手メディアや官公庁のWebプロジェクト実績多数。
「技術」だけでなく「対話」を重視し、御社の「ほんとは、こうしたかった」を形にします。

LBSとは「タスク」ではなく「場所」を主軸にする手法

そもそもLBSは、主に建設業や大規模インフラプロジェクトで発展してきた手法です。
一般的なスケジュール(ガントチャートなど)は、「要件定義」「設計」「テスト」といった「タスク(作業内容)」を縦軸に並べます。
しかしLBSでは、「場所(ロケーション)」を主軸にしてスケジュールを組み立てます。

なぜなら、物理的な空間には「人が入れる限界」があり、複数のチームが同じ場所で同時に作業しようとすると、お互いが邪魔になって(リソースが衝突して)作業がストップしてしまうからです。

【具体例】3階建てビルの改装工事で考えるLBS

【具体例】3階建てビルの改装工事で考えるLBS

PMBOKが示している4つの小難しい要素が、現場で具体的にどういうアクションになるのか。「3階建てビルの内装工事」を例に翻訳してみましょう。

登場するチームは、「大工(壁を作る)」「配管工(パイプを通す)」「塗装工(色を塗る)」の3チームです。

1. 生産率(Production rates)

  • PMBOKの定義: 各エリアにおける作業の進捗速度や効率。
  • 具体的なアクション: 「大工チームが1階の壁を完成させるには何日かかるか?」を計算します。大工が3日、配管工が2日、塗装工が1日かかる、といった「チームごとの作業スピード」を把握することです。

2. 作業班の人数や規模(Crew sizing)

  • PMBOKの定義: 各場所に投入されるチームの編成サイズ。
  • 具体的なアクション: 大工の作業が遅くて後ろのチームが詰まってしまうなら、「大工チームの人数を3人から5人に増やして、スピードを調整しよう」と人員配置を最適化することです。

3. タスク間の論理関係(Logic between tasks)

  • PMBOKの定義: 作業エリア間、あるいはアクティビティ間の依存関係や手順。
  • 具体的なアクション: 「大工が壁を作った後でないと、配管工は入れない」という絶対的な作業の順番(ルール)を定義することです。

4. 作業の分割やバッファの要件(Splitting or buffering work)

  • PMBOKの定義: 作業を分割したり、時間的・空間的なバッファを設けたりするルール。
  • 具体的なアクション: 大工チームが1階から2階へ移動した直後に、すぐ配管チームを1階に入れると、トラブルがあった時に衝突してしまいます。そこで「常に1フロア(空間)は誰もいない状態をキープする」または「大工が終わってから2日は間隔(時間)を空ける」といった衝突回避のためのゆとり(バッファ)を設定することです。

このように、「どのチームが、どの順番で、どれくらいのスピードで各フロア(場所)を移動していくか、渋滞が起きないように交通整理をする」ことこそが、LBSの具体的な正体です。

【SSAITSの視点】WebやIT開発にLBSを応用するには?

【SSAITSの視点】WebやIT開発にLBSを応用するには?

LBSは物理的な場所を伴うプロジェクト向けの手法ですが、この考え方はWebやITシステムの開発にも応用できます。

物理的な「フロア(場所)」を、システムの「画面(ログイン画面、決済画面など)」や「モジュール(機能の塊)」、「サーバー環境(テスト環境、本番環境)」に置き換えてみてください。

たとえば、フロントエンド・エンジニアとバックエンド・エンジニアが「決済画面」という同じ場所(ソースコードや機能)を同時に触ろうとすると、コンフリクト(衝突)が起きて作業が止まることがあります。
ここでLBSの思考を取り入れます。

LBSの応用
  1. 場所の定義: ログイン画面(A)、ダッシュボード(B)、決済画面(C)とエリアを分ける。
  2. 交通整理(バッファ): バックエンドチームがAのAPIを作り終わってから、フロントエンドチームがAのデザイン実装に入る。その間、バックエンドチームはBの作業へ移動する。

このように、「開発リソース(人)が、システムのどの領域(場所)を、どういう順番で移動していけば最も無駄がないか」を計算してスケジュールを組むことで、手持ち無沙汰になるメンバーを減らし、プロジェクト全体の進行を劇的にスムーズにすることができます。

PMBOKの抽象的な言葉に惑わされず、「要するに交通整理のことだ」と本質を掴んで、ぜひ現場のスケジュール管理に役立ててください。

1 Project Management Institute, Inc., The Standard for Project Management and A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK® Guide) – Eighth Edition, 第2部 セクション2.3.3.6(57頁)より筆者要約・翻訳。以下、PMBOK第8版(英語版)と略記。
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