機能や品質が良いのは当たり前。では、競合サービスにすぐに追いつかれてしまう現代において、顧客と長く良好な関係を築くには何が必要でしょうか?
今回は、佐々木紀彦さんの著書『編集思考』から、サブスクリプションモデルなどに象徴される現代ビジネスの鍵、「エンゲージメントの4C」と、その中でも特に重要となる「コミュニティ」の力について解説します。
エンゲージメントの4Cとは?
『編集思考』では、ビジネスにおいてユーザーとの深いエンゲージメント(つながり)を築くためのポイントとして、以下の4つ(4C)が挙げられています。
- コミュニケーション(Communication)
- コミュニティ(Community)
- コンシステンシー(Consistency)
- カジュアル(Casual)
製品やサービスは絶え間なく進化していくため、単なるクオリティだけの勝負になると、いずれライバルに追いつかれてしまいます。
そこで、より深いエンゲージメントを築くための切り札となるのが「コミュニケーション」です。たとえばフリマアプリのメルカリのように、安く買えるだけでなく、ユーザー同士の「ちょっとまけてよ」「わかった!」といったコミュニケーションの要素が組み込まれているサービスは、強いエンゲージメントを生み出します。
コミュニケーションの先にある「コミュニティ」の形成

そして、そうした良質なコミュニケーションを繰り返した先に行き着くのが、2つ目のCである「コミュニティ」の形成です。
著者は、コルク創業者である佐渡島庸平さんの著書『WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE.』を引用し、ファンコミュニティは以下の「3つの次元」で定義されると紹介しています。
- 関係の深さ(親近感)
- 質
- ファン数
これら3つを丁寧に育んでいくことが、長く愛されるコミュニティを創るためのポイントです。とくに「関係の深さ」と「質」が高まれば高まるほど、ユーザー同士のコミュニケーションが活発化し、結果として自律的にコミュニティが発展していくようになるのです。
【SSAITSの視点】高コストでもコミュニティを「やるべき」理由
書籍の中でも触れられていますが、コミュニティをよりよい場として育てていくのは非常に手間がかかり、高コストです。しかし、それでも「やるべき」であると著者は説いています。
私たちプロジェクトマネージャーやWeb制作者も、プロジェクトを進める際につい「便利な機能」「美しいデザイン」といった「クオリティ」ばかりに目を向けてしまいがちです。しかし、どれほど素晴らしいシステムを作っても、機能やデザインはいずれ他社に模倣されます。
絶対に模倣されない真の価値(エンゲージメント)を生み出すには、サービスの中にユーザー同士、あるいは企業とユーザーとの間に「コミュニケーション」を発生させる仕組みが必要です。そして最終的に、それを「自律的に発展するコミュニティ」へとどう昇華させるかが、長く愛されるサービスをデザインする上での最大の鍵になります。
「クオリティの勝負から、コミュニティの勝負へ」。
プロジェクトの要件定義やサービス設計を行う際に、この「エンゲージメントの4C」の視点を取り入れてみてはいかがでしょうか。
参考
- 佐々木紀彦『異質なモノをかけ合わせ、新たなビジネスを生み出す 編集思考』NewsPicksパブリッシング、2019年

