
プロジェクトマネジメントの現場でよく使われる「WBS(作業分解図)」に似た言葉として、PMBOK第8版では「VBS(価値分解図:Value Breakdown Structure)」という概念が登場します[1]出典:Project Management Institute, Inc., The Standard for Project Management and A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK® Guide) – Eighth Edition, 第2部 … Continue reading。
「VBSってそもそも何?」「WBSと何が違うの?」と疑問に思っている方に向けて、VBSの基本的な意味と、具体的な作り方のステップを分かりやすく解説します。
VBS(価値分解図)とは何か?
VBSとは、プロジェクトのスコープ(範囲)とそれが意図する「価値」を、その価値を生み出すプロダクト・スコープと結びつける階層的な構造のことです。
難しく聞こえますが、一言で表すなら「各要素に対して『価値の見積もり』が割り当てられたWBS(作業分解図)」です。
従来のWBSは「何を(作業)しなければならないか」に焦点を当てていました。しかし、VBSは「その作業をすることで、どれだけの価値(Value)が生まれるのか」を可視化します。これにより、チーム全体が「ただ作業をこなす」のではなく、「価値を生み出すこと」に集中できるようになります。
VBSの具体的な作成ステップ

PMBOK第8版の記述に基づき、VBSを作成するための具体的な4つのステップを紹介します。
主要な成果物の特定(トップレベルの構築)
まずはVBSの最上位(トップレベル)を構築します。プロジェクトのステークホルダー間でしっかりと議論を行い、プロジェクトが生み出す「主要な成果物(Major deliverables)」を特定して配置します。
価値の見積もりと割り当て
特定した各成果物が追加すると期待される「価値」を見積もり、それぞれのアイテムに入力します。価値の表現方法には、大きく分けて以下の2つの形式があります。
| 表現形式 | 具体的な例 |
|---|---|
| 価値ベースの数値 | 収益の金額、文字を教えられた生徒の数、救われた命の数など |
| 割合(パーセンテージ) | プロジェクトの期待総価値に対する割合(※必須の成果物は100%とする) |
サブ成果物への分解
トップレベルに配置して価値を割り当てた各成果物アイテムを、さらに細かく分解していきます。これらを構成する「サブ成果物(Subdeliverables)」を洗い出し、階層構造を作ります。
WBSを通じた活動(アクティビティ)への落とし込み
最後に、洗い出したサブ成果物をWBS(作業分解図)を通じてさらに分解します。VBSで定義された「価値あるアイテム」を実際に作り出すための、具体的なプロジェクト・スコープや活動(作業タスク)へと落とし込んでいきます。
まとめ:作業ではなく「価値」を管理しよう
VBS(価値分解図)を作成することで、「このタスクはプロジェクト全体の価値のどれくらいに貢献しているのか」が明確になります。
限られたリソースや時間の中でプロジェクトを成功させるためには、価値の低い作業に時間を割くのをやめ、価値の高い成果物から優先的に取り組む必要があります。これからプロジェクトの計画を立てる際は、従来のWBSに「価値」の視点を加えたVBSの作成にぜひ挑戦してみてください。
注
| ↑1 | 出典:Project Management Institute, Inc., The Standard for Project Management and A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK® Guide) – Eighth Edition, 第2部 セクション2.2.1(38-39頁)より筆者要約・翻訳。以下、PMBOK第8版(英語版)と略記。 |
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