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【PMBOK第8版】ガバナンスを評価する「5つの成果」〜体制構築のゴールとして活用せよ

PMBOK第8版のガバナンス・パフォーマンス領域を読み解くシリーズ。今回は最後のセクションとなる「2.1.9 結果の確認(Check Results)」について解説します[1]Project Management Institute, Inc., The Standard for Project Management and A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK® Guide) – Eighth Edition, 第2部 セクション2.1.9 … Continue reading

これまで、ガバナンスの計画から監視、変更管理、そして他領域との相互作用まで様々なプロセスを学んできました。この最終セクションでは、これまで構築してきたガバナンスの仕組みが「本当に意図した成果を生み出しているか(価値の最大化に貢献しているか)」を評価・確認するためのチェックリストが提供されています。

目次
このサイトの運営者

山脇 弘成(SSAITS代表)

PMP®有資格者・Webプロジェクトマネージャー
大手メディアや官公庁のWebプロジェクト実績多数。
「技術」だけでなく「対話」を重視し、御社の「ほんとは、こうしたかった」を形にします。

ガバナンスにおける「結果の確認」の目的

適切なレベルのガバナンスを導入するためには、業界の特性、組織構造、プロジェクトの独自の文脈に合わせて調整(テーラリング)された「絶妙なバランス」が求められます。

プロジェクトを成功に導くためには、経営幹部からPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)、アジャイル実践者、そして現場のチームメンバーに至るまで、あらゆるステークホルダーが「今のガバナンスは正しく機能しているか?」を常に熟考し、確認する必要があります。

ガバナンスが目指す「5つの成果」とチェック項目

【PMBOK第8版】ガバナンスを評価する「5つの成果」〜体制構築のゴールとして活用せよ

PMBOK第8版では、ガバナンス領域が目指すべき「目標とする成果(Outcome)」と、それが達成されているかを確認するための「チェック項目(Check)」が5つに整理されています。

成果1:適切なレベルの監視(オーバーサイト)が行われている

  • チェック項目: チームが関与するタスクにおいて、合意されたプロセスやプロトコル、チームの約束事(ガバナンス)が存在することを全員が理解しているか。また、それらが文書化され、組織の他のポリシーや標準と整合しているか。

成果2:プロセスが効果的であり、継続的に改善されている

  • チェック項目: チームがガバナンス構造や顧客の要件を認識し、適切に行動しているか。予測型アプローチであれば監査やチェックリストを活用しているか。必要な会議(朝会や定例会など)が定期的に実施され、タイムボックスが機能しているか。

成果3:効果的なシグナリング・メカニズムが導入されている

  • チェック項目: トラブルの兆候を早期に検知するための「シグナリング・メカニズム(警告や通知の仕組み・先行指標など)」が適切に選択され、プロジェクトの価値提案を最大化するために使用されているか。

成果4:教訓とレトロスペクティブが管理されている

  • チェック項目: プロジェクトや組織の学習(ノウハウ)が蓄積され、価値を生み出すために活用されているか。「教訓」がプロジェクトの終了時だけでなく、進行中のプロセスにも継続的に組み込まれているか。

成果5:経営層への報告とプロジェクト指標の追跡ができている

  • チェック項目: チームの労力が、プロジェクトのステータス、リソース要件、リスク対応、実現された価値、法令遵守、財務パフォーマンスなどの「重要な要素」にしっかりと注力できているか。そしてそれが主要な経営メンバーに正しく報告されているか。

これら5つの成果は非常に重要なポイントであり、もし一つでも明確になっていないものがあれば、「現在のガバナンスのどこかに穴(脆弱性)がある」ということを意味しています。

【SSAITSの視点】5つの成果を「初期のゴール」として提示する

PMBOKでは、これらを「結果の確認(事後評価)」のリストとして紹介していますが、実務の現場においては、これを逆手にとったアプローチが非常に有効です。

プロジェクトの立ち上げ時に、この5つの成果をステークホルダーやメンバーに見せ、「まずはこの5点を固め、これらが機能するようなプロジェクトの体制(ガバナンス)を一緒に作っていきましょう」と宣言してしまうのです。

プロジェクトマネジメントに不慣れなクライアントやメンバーに対して、「ガバナンスを作りましょう」と言っても抽象的すぎて伝わりません。
しかし、「定期的な会議体を設定し(成果2)」「トラブルの検知ルールを決め(成果3)」「振り返りの方法を決め(成果4)」「経営層への報告ルートを確立する(成果5)」といった具体的な体制構築のゴールを最初に提示すれば、全員が納得して足並みを揃えやすくなります。

この5つの成果は、結果を測るモノサシであると同時に、プロジェクトを迷わず進めるための「最初の道しるべ」としても活用できる強力なツールなのです。

まとめ

ガバナンス・パフォーマンス領域の全行程、お疲れ様でした!

ガバナンスとは、プロジェクトを単なる「作業の集まり」から、組織に価値をもたらす「意味のある投資」へと昇華させるための極めて重要な領域です。今回学んだプロセスやチェックリストを日々の業務に取り入れ、ぜひ強靭で柔軟なプロジェクト体制を築き上げてください。

1 Project Management Institute, Inc., The Standard for Project Management and A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK® Guide) – Eighth Edition, 第2部 セクション2.1.9 および Table 2-5(35-37頁)より筆者要約・翻訳。以下、PMBOK第8版(英語版)と略記。
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