2025年、PMBOK第8版が発刊されました。
哲学書とも呼ばれた第7版から、時代に即したバージョンアップがなされています。
その中で、「VUCA」と呼ばれる現代に呼応して明確に打ち出されたのが、プロジェクトマネジメントで得られる効果への言及です。
第8版では、プロジェクトマネジメントを以下のように位置づけています[1]出典:Project Management Institute, Inc., A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK® Guide) – Eighth Edition, … Continue reading。
効果的かつ効率的なプロジェクトマネジメントは、組織内の戦略的コンピテンシーです。プロジェクトは組織に対して以下のことを可能にします。
- プロジェクトの成果物をビジネス戦略および関連する目標に合致させること
- より効果的に競争すること
- 長期的な持続可能性(サステナビリティ)と成長を確実にすること
- ポジティブな変革を推進すること
- ビジネス環境の変化がもたらす影響に対応すること
- 社会全体に対してポジティブな影響を創出すること
戦略的コンピテンシーとは?

第8版のいう、「戦略的コンピテンシー(strategic competency)」とはいったい何なのでしょうか?
コンピテンシーとは、一般的に「能力」や「行動特性」と訳されます。
現在のビジネスでは、他社には真似できない会社の最も根幹となる強みを「コア・コンピテンシー」と呼んだりします。
つまり、「プロジェクトを効果的かつ効率的にマネジメントできること自体が、組織の競争力を左右する強力な武器になる」と第8版は明言しているのです。

変化の激しい時代に、ビジネスを成長させ、社会に対してよい影響を及ぼしていくには、プロジェクトを次々に立ち上げ、改善と変革を進めていかなければなりません。
これまでは「新商品の開発」くらいしかプロジェクトと呼べるものがなかったような会社であっても、ペーパーレス化、AI導入、DX(デジタルトランスフォーメーション)など、さまざまなプロジェクトに着手していかなければ、あっという間に時代に取り残されてしまいます。
そのため、プロジェクトを効果的に、そして効率的に遂行できる能力は、現代の組織にとって不可欠な「戦略的コンピテンシー」であるとPMBOKは訴えかけているのです。
あわせて知りたい
ここからは、今回の内容をさらに深く理解するために覚えておきたい2つの重要キーワードを紹介します。
VUCA(ブーカ)
![[画像:VUCAのイメージ画像]](https://ssaits.jp/promapedia/wp-content/uploads/2025/10/vuca-1-1024x538.png)
VUCAとは、現代のビジネス環境が予測困難であることを示す造語で、以下の4つの英単語の頭文字を取ったものです。
- Volatility(変動性):変化のスピードが速く、激しいこと
- Uncertainty(不確実性):過去のデータや経験から未来を予測しにくいこと
- Complexity(複雑性):さまざまな要素が絡み合い、単純な原因と結果で説明できないこと
- Ambiguity(曖昧性):絶対的な正解がなく、解釈が複数存在すること
かつてのように「計画通りに進める」だけでは通用しないVUCAの時代だからこそ、状況に合わせて柔軟に価値を創出するプロジェクトマネジメントの力が求められています。

プロジェクト・エコノミー
プロジェクト・エコノミーとは、PMI(プロジェクトマネジメント協会)が提唱している概念です。
これまで企業は、決められた業務を繰り返す「定常業務(オペレーション)」を中心に利益を生み出してきました。
しかし現在では、新しい価値の創造や組織の変革をもたらす「プロジェクト」こそが、経済活動の中心(主役)になっているという考え方です。
プロジェクトマネジメントが「戦略的コンピテンシー」と呼ばれる背景には、まさに世界がこのプロジェクト・エコノミーへと移行しているという大きな潮流があります。
注
| ↑1 | 出典:Project Management Institute, Inc., A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK® Guide) – Eighth Edition, 3頁より筆者要約・翻訳。以下、PMBOK第8版(英語版)と略記。 |
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