どのような人物にプロジェクト・マネジャーを任せればよいのか?専心と献身のマトリックス(Dedication and commitment matrix)を使って解説

「誰にプロジェクト・マネジャーを任せるのか?」はプロジェクトの成否を大きく左右する重要な決定です。

その選定基準はさまざまありますが、今回は専心と献身のマトリックスを使って解説していきます。

プロジェクト・マネジャーへの2つの質問

プロジェクト・マネジャーを選ぶ際、「専心(Dedication)」「献身(Commitment)」の2点で評価するのが専心と献身のマトリックスです。
「専心」はプロジェクトに専念できる程度を、「献身」はプロジェクトの成功への意欲をそれぞれ意味しています。

専心と献身は、以下の質問に答えてもらうことで測定します[1]

  • 専心:どのくらいの時間をプロジェクトのために確保することができるか?
  • 献身:プロジェクトの成功にどれだけ意欲的に関与することができるか?

これらの質問に0~100%の値で答えてもらいます。

専心と献身のマトリックスの作成

専心と献身のマトリックス(Dedication and commitment matrix)のイメージ
専心と献身のマトリックス(Dedication and commitment matrix)

専心と献身のマトリックスでは、「どのくらいの時間をプロジェクトのために確保することができるか?」という専心と、「プロジェクトの成功にどれだけ意欲的に関与することができるか?」という献身の2軸で作図します。
先ほどの2つの質問をふまえ、専心と献身のマトリックスの中でプロジェクト・マネジャーの候補者がどの領域に属しているのかを確認します。

プロジェクト・マネジャーに適しているのは、専心も献身も回答した値が高い「最優秀(Champion)」に属する人材です。最優秀の人材はプロジェクトに使う時間が確保でき、プロジェクトを成功させるために意欲的に取り組んでくれることが予想されます。
残念ながら、これ以外の領域に属する人物はプロジェクト・マネジャーに適しているとは言えません。

「ファン(Fan)」は献身の値は高いものの、専心が高くありません。つまり、プロジェクトを好意的にとらえているものの、プロジェクトに取り組むための時間の確保が難しいことを意味しています。

一方、「危険(Danger)」に属している人物は、専心が高いものの、献身が高くありません。つまり、時間はあるけれども、プロジェクトの成功には関心がないことを示しています。
時間が確保できる人物はプロジェクト・マネジャーに選出されやすいのですが、「危険」という名前が示しているように、この領域に属している人物はプロジェクトに意欲的でないため、プロジェクトの失敗につながる可能性が高いです。

「観客(Spectator)」は専心も献身も低い領域です。つまり、時間もなく、プロジェクトへの関心もないことを意味しています。
この領域の人物はプロジェクトを外から見る観客にはなれるものの、プロジェクト・マネジャーは任せられません。