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【ウォーク資本主義とは】企業の「意識高い系」アピールに潜む新自由主義の罠

環境問題への取り組み、多様性(ダイバーシティ)の推進、女性の活躍。
現代のビジネスシーンでは、大企業がこうした「社会正義」を掲げるのが当たり前の時代になりました。しかし、その一見すると素晴らしい取り組みの裏に、恐るべき思惑が隠されているとしたらどうでしょうか。

今回は、現代資本主義の病理を鋭く告発した書籍『WOKE CAPITALISM 「意識高い系」資本主義が民主主義を滅ぼす』をもとに、エリート企業が「意識高い系」を装う本当の理由について解説します。

目次
このサイトの運営者

山脇 弘成(SSAITS代表)

PMP®有資格者・Webプロジェクトマネージャー
大手メディアや官公庁のWebプロジェクト実績多数。
「技術」だけでなく「対話」を重視し、御社の「ほんとは、こうしたかった」を形にします。

「ウォーク(Woke)=意識高い系」とは何か?

タイトルの「ウォーク(Woke)」とは、元々は英語の「目を覚ます(Wake)」の過去分詞形に由来する言葉です。人種差別や性差別、環境保護といった社会問題に対して「高い意識を持っている(目覚めている)」ことを指すポジティブな言葉でした。

しかし現在では、意味合いが大きく変化しています。
表面上は意識が高いふりをしながら、実際にはそれと矛盾する行動をとる企業やエリート層(えせ進歩主義者)を非難・揶揄するスラングとして使われているのです。

著者はこれを、日本のネット用語である「意識高い系」に近いニュアンスだとしています。
本書は、こうした「意識高い系」企業がもたらす「ウォーク資本主義」の欺瞞(ぎまん)を暴いています。

慈善活動の裏にある矛盾(アマゾンの事例)

ウォーク資本主義の典型例として、本書ではアマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏の行動が挙げられています。

ベゾス氏は、気候変動対策のために100億ドルという天文学的な巨額の寄付を行いました。これだけを聞くと「なんて社会貢献に熱心な素晴らしい経営者だ」と思うかもしれません。
しかしその一方で、彼が率いるアマゾンは合法的な「租税回避」を駆使し、巨額の利益を上げながら法人税をほとんど支払っていませんでした。

著者はここに強烈な矛盾を突きつけます。
「本当に公共の利益を考えるのであれば、自腹を切って寄付の美談を作る前に、まずは企業として正当に税金を納めるべきではないか?」

これが、ウォーク資本主義が抱える分かりやすい欺瞞の一つです。

なぜ企業は「社会正義」を語るのか?(偽装された新自由主義)

では、なぜ富裕層や大企業は、わざわざ社会正義に関心があるふりをして寄付やSDGsのアピールを行うのでしょうか。そこには、明確な戦略があります。

彼らの真の目的は、「企業が自発的に社会問題に対処するから、政府(民主政治)は企業活動に介入したり、税金を取ったりしないでくれ」とアピールすることです。

これは一見、社会を良くする進歩的な動きに見えます。しかし実際には、現在の不平等な社会構造を維持し、富裕層の既得権益を守るための「極めて保守的な戦略」にすぎません。
著者は、このウォーク資本主義の正体を「『意識高い系』に偽装された新自由主義」であると見抜いています。かつての「利益第一主義」を露骨に掲げた新自由主義よりも、耳当たりの良い言葉でコーティングされて見えにくくなっている分、よりタチが悪いと指摘しているのです。

日本にも浸透する「ウォーク資本主義」

この「ウォーク資本主義」の問題は、決してアメリカや海外の巨大IT企業だけのものではありません。日本にも大いに関係しています。

たとえば2010年代、日本の政治やビジネスの場では「女性の活躍」「人生100年時代」「多様性(ダイバーシティ)」といった、一見すると進歩的で「意識高い」スローガンが次々と掲げられました。

しかし、著者はその真の狙いを次のように分析しています。
少子高齢化によって深刻な人手不足に陥る中、「企業が労働者の賃上げを回避したまま、主婦や高齢者といった安価な労働力を確保し続けること」こそが裏の目的だったというのです。

結果として、労働者の全体的な賃金を抑え込み、格差を拡大させる新自由主義的な政策が、「意識高い系の美しい言葉」によって巧みに隠蔽され、実行されていきました。

まとめ:美しいスローガンの「裏」を読み解く

私たちは、企業が掲げる「環境に優しい」「多様性を尊重する」といった美しいスローガンを見ると、無意識のうちに「良い会社だ」と好感を抱いてしまいます。

しかし、そのアピールが本当に社会のためになっているのか、それとも「税金を逃れるため」「安く人を働かせるため」「政府の規制を防ぐため」の隠れ蓑(ポーズ)にすぎないのか。

『WOKE CAPITALISM 「意識高い系」資本主義が民主主義を滅ぼす』が突きつける視点は、情報が溢れる現代において、企業や権力者の発信するメッセージを鵜呑みにせず、その裏にある「真の構造」を見抜くための強力なクリティカル・シンキングの武器となります。

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