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【PMBOK第8版】スコープ・パフォーマンス領域の全6プロセスと「予測型・適応型」の違い

PMBOK第8版の「スコープ・パフォーマンス領域」を読み解くシリーズ。今回は、この領域の中核メカニズムとなる「6つの主要なプロセス(2.2.2 Processes)」について解説します。

スコープのプロセス群は、プロジェクトに必要なすべての作業を定義して検証し、同時に「不要な作業を排除する」ことでプロジェクトの価値を最大化する一連の活動です。

それぞれのプロセスの詳細と、予測型(ウォーターフォール)および適応型(アジャイル)におけるアプローチの違いを見ていきましょう。

目次
このサイトの運営者

山脇 弘成(SSAITS代表)

PMP®有資格者・Webプロジェクトマネージャー
大手メディアや官公庁のWebプロジェクト実績多数。
「技術」だけでなく「対話」を重視し、御社の「ほんとは、こうしたかった」を形にします。

スコープ領域を構成する6つのプロセス

スコープ管理の計画(Plan Scope Management)

プロジェクトとプロダクトのスコープを、どのように定義し、妥当性を確認し、コントロールしていくかを定めた「スコープ管理計画書」および「要求事項管理計画書」を作成するプロセスです。
価値提供を確保するという本質は同じですが、適応型プロジェクトにおいては、予測型よりもはるかに反復的かつ協同的なアプローチが計画されます。

要求事項の収集と分析(Elicit and Analyze Requirements)

ステークホルダーのニーズと要求事項を特定・分析し、文書化して管理するプロセスです。最大の価値をもたらす成果物を定義するための明確な出発点となります。

  • 予測型: プロジェクト初期に詳細な要求事項を漏れなく定義しようとします。
  • 適応型: 要求事項は主に「ユーザーとして、〇〇を達成するために、〇〇の機能が欲しい」といった「ユーザーストーリー」の形式で収集され、優先順位をつけた「バックログ」に蓄積されていきます。

スコープの定義(Define Scope)

プロジェクトが提供すべき期待価値の詳細(または大枠)を記述した「プロジェクト範囲記述書」を作成するプロセスです。ここでは、成果物の「品質要件や基準」を特定し、それをどうテスト・検証するかも決定します。
予測型では初期に詳細が構造化されますが、適応型ではプロダクトロードマップ等を通じて高レベル(大枠)で定義され、各スプリントの開始時にバックログから段階的に詳細化されます。

スコープ構造の作成(Develop Scope Structure)

プロジェクトの成果物と作業を、より小さく管理しやすいコンポーネントに細分化(分解)していくプロセスです。ここで作成される構造は、チームが共通の目標に向かって作業するための地図となります。

  • 予測型: スコープを「ワークパッケージ」に分解した階層図であるWBS(作業分解図)とWBS辞書を作成します。
  • 適応型: WBSの代わりにプロダクトバックログを使用し、大きな作業の塊から「エピック」→「フィーチャー」→「ユーザーストーリー」へと段階的に分解していきます。

スコープの監視・コントロール(Monitor and Control Scope)

スコープの状況を継続的に監視し、ベースライン(基準線)への変更を管理するとともに、成果物の品質が基準に達しているかを測定します。
成果物が顧客にとって本当に価値を提供し、合意された要件を満たしているかを常に確認します。外部パートナーが関与する場合は、契約上の義務とスコープの同期(ハモナイズ)が極めて重要になります。

スコープの妥当性確認(Validate Scope)

品質基準を満たすために適切なプロセスが用いられているかをチェックし、完了した成果物に対してステークホルダー(顧客など)から正式な受け入れ(サインオフ)を得るプロセスです。この客観的な確認を通じて、成果物が正式に受け入れられる確率を最大化します。


【まとめ】予測型と適応型におけるスコープ管理の違い

【PMBOK第8版】スコープ・パフォーマンス領域の全6プロセスと「予測型・適応型」の違い

PMBOK第8版の解説全体を通して見えてくるのは、「価値を提供する」という目的は同じでも、そのスコープの構造化と管理の仕方がアプローチによって根本的に異なるという点です。

最後に、これまでのプロセスに登場した「予測型(ウォーターフォール)」と「適応型(アジャイル)」の違いを分かりやすく表に整理しました。

比較項目予測型(ウォーターフォール)のアプローチ適応型(アジャイル)のアプローチ
要求事項の収集初期段階で詳細な要件定義書を作成する「ユーザーストーリー」として継続的に収集する
スコープの構造化WBS(作業分解図)を使用するプロダクトバックログを使用する
作業の分解単位プロジェクト → フェーズ → ワークパッケージエピック → フィーチャー → ユーザーストーリー
ベースラインの確定計画フェーズの終了時に全体を確定する各イテレーション(スプリント)の開始時に確定する
変更への対応CCB(変更管理委員会)などの厳格な手順を踏むバックログの優先順位付けを通じて柔軟に対応する

あなたのプロジェクトは、初期にスコープをガッチリと固めるべき(予測型)でしょうか?それとも、環境の変化に合わせて柔軟にスコープを組み替えていくべき(適応型)でしょうか?

「何を作るか(スコープ)」を決めることは、プロジェクトマネジメントの要です。プロジェクトの特性に合わせて最適なアプローチを選択し、価値の最大化を目指しましょう。

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