【応用情報】「スレッドセーフ」とは?排他制御との違いやホワイトボードの例えで解説

応用情報技術者試験の勉強をしていると、「スレッドセーフ(Thread-safe)」という言葉に出会うことがあります。

「スレッド? セーフ? 何が安全なの?」 「これってデータベースの排他制御(デッドロックとかの話)と何が違うの?」

そんな疑問を持つ方向けに、今回はWebディレクターやPMの視点で、スレッドセーフの正体を解説します。
実はスレッドセーフは「ECサイトの在庫管理」や「共同編集機能」など、身近なサービスの裏側で非常に重要な役割を果たしている概念です。

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このサイトの運営者

山脇 弘成(SSAITS代表)

PMP®有資格者・Webプロジェクトマネージャー
大手メディアや官公庁のWebプロジェクト実績多数。
「技術」だけでなく「対話」を重視し、御社の「ほんとは、こうしたかった」を形にします。

スレッドセーフとは何か?

一言で言うと、「みんなで同時に使っても、壊れない(安全な)状態」 のことです。

ITの世界では、一つの処理の流れを「スレッド(Thread)」と呼びます。
Webサーバーなどは、たくさんのユーザーからのアクセス(スレッド)を同時に受け付けます。

「共有のホワイトボード」でイメージしよう

オフィスの会議室に、1枚しかないホワイトボードがあると想像してください。ここに「現在の在庫数:10」と書いてあります。

ホワイトボードの状態
  • スレッドセーフではない状態(危険): AさんとBさんが、全く同じタイミングで書き換えようとしました。二人の手がぶつかり、文字がぐちゃぐちゃになって読めなくなってしまいました。
    👉 プログラムの世界では、計算結果が狂ったり、エラーで止まったりします。
  • スレッドセーフな状態(安全): ホワイトボードの前に「鍵」や「行列」を作ります。「Aさんが書いている間、Bさんは待っていてね」と整理することで、誰がいつ来ても正しく数字が更新されます。

つまり、「複数の処理(スレッド)が同時に走っても、データがおかしくならない設計」のことを「スレッドセーフ」と呼びます。

「スレッドセーフの仕組み」の図解

スレッドセーフの役割

では、具体的にどんな場面で役に立っているのでしょうか?
最もわかりやすいのが、Webサイトでの「早い者勝ち」の処理です。

ECサイトの「残り1個」問題

人気商品の在庫が「残り1個」のとき、全国から同時に100人が「購入ボタン」を押したとします。

もし、プログラムがスレッドセーフで作られていなかったらどうなるでしょうか?
システムが混乱して、100人全員に「OK!買えました!」と返事をしてしまうかもしれません。
その結果、「在庫1個なのに100個売れてしまった(過剰受注)」という大事故になります。

スレッドセーフに設計されたプログラムなら、0.001秒でも早くアクセスした1人目だけに「購入OK」を出し、残りの99人には正しく「売り切れ」を表示できます。
このように、大量のアクセスが集中してもデータの整合性を保つのがスレッドセーフの役割です。

「スレッドセーフ」と「DBの排他制御」の違い

勉強を進めると、「あれ? これってデータベースの排他制御(ロック)と同じじゃないの?」という疑問が湧いてきます。

結論から言うと、「やっていること(交通整理)」は同じですが、「場所」が違います。

項目スレッドセーフDBの排他制御
守る場所アプリケーションの中
(メモリ上の変数など)
データベースの中
(ハードディスク上の記録)
イメージ机の上の「メモ用紙」
書き換える時のルール
銀行の奥の「貸金庫」
開ける時のルール
使う言葉「このプログラムはスレッドセーフで作ろう」「トランザクション分離レベルを設計しよう」
「スレッドセーフ」と「DBの排他制御」の違いのまとめ
  • スレッドセーフ: 計算中の「一時的なデータ」が壊れないように、プログラムの中で守る。
  • DBの排他制御: 顧客データなどの「永続的なデータ」が矛盾しないように、DBの機能で守る。
「場所の違い(アプリ vs DB)」の図解

プロジェクトマネージャーやWebディレクターとしては、エンジニアへの指示出しで使い分けられるとかっこいいですね。

このバグ、スレッドセーフになってないんじゃない?(アプリ側の問題?)

DBの排他制御はどうなってる?(データ側の問題?)

過去問に挑戦!

それでは、実際の試験問題を見てみましょう。定義さえわかっていれば、一瞬で解けるボーナス問題です。

令和7年秋期 応用情報技術者試験 午前問17

スレッドセーフの説明として,適切なものはどれか。

  •  アプリケーションが複数のスレッドから呼び出されないようになっている。
  •  アプリケーションを複数のスレッドではなく,単一のスレッドで動作させる。
  •  アプリケーションを複数のスレッドで並列に実行しても,問題が生じない。
  •  スレッドの競合が発生したときに,アプリケーションを安全に停止させる。

解説

  • ア・イ(不正解): これらは「そもそも同時に使わせない(シングルスレッドにする)」という対処法です。「安全(セーフ)」の意味合いが異なります。
  • ウ(正解): 「複数のスレッド」「並列に実行(同時に処理)」 しても 「問題が生じない」。 これがまさにスレッドセーフの定義そのものです!
  • エ(不正解): これはエラー処理の話です。スレッドセーフなプログラムは、停止せずに正しく処理を続けます。

まとめ

「スレッドセーフ」とは、「行列のできる人気店でも、店員さんがテンパらずに正しく注文をさばける状態」のこと。
難しそうな言葉ですが、「同時のアクセスに強い作りなんだな」と覚えておけばOKです!

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