【応用情報対策】迷子にならないための住所！TCP/IPとウェルノウンポートを完全理解

2025年12月8日

応用情報技術者試験のネットワーク分野では、アルファベット3文字のプロトコル（FTP, SMTP, POP3…）がたくさん出てきます。
これらは一体、ネットワークの中でどうやって使い分けられているのでしょうか？

今回は、通信の基礎である「TCP/IP」と「ポート番号」の仕組み、そして少し特殊な動きをするプロトコルについて、過去問（令和4年度応用情報技術者試験秋期午前問32）を題材に解説します。

【問題】
TCP/IPネットワークで，データ転送用と制御用とに異なるウェルノウンポート番号が割り当てられているプロトコルはどれか。

ア FTP
イ POP3
ウ SMTP
エ SNMP

TCP/IPとポート番号とは？（マンションの例え）

まずは基本用語を、「インターネット＝巨大な配送システム」と考えて整理しましょう。

TCP/IPとは、インターネットでデータをやり取りするための世界共通のルール（プロトコル）のセットです。

世界共通のルール（プロトコル）のセット

では、応用情報技術者試験の問題にでてきた「ウェルノウンポート番号」とは何でしょうか？

IPアドレスで「建物（サーバ）」までは特定できました。でも、そのサーバの中には、メール機能もあれば、Webサイトの機能もあるかもしれません。
「どの機能（部屋）に荷物を届ければいいの？」
これを識別するのがポート番号です。

特に、0番〜1023番までの番号は、有名なサービスのために予約されているため、ウェルノウン（よく知られた）ポート番号と呼ばれます。

ウェルノウンポート番号の例

このように、「この番号ならこのサービス！」と決まっているおかげで、世界中のコンピュータが迷わずに通信できます。

ここまでTCP/IPとウェルノウンポート番号について解説してきたところで、冒頭の問題を振り返ってみましょう。

【問題】
TCP/IPネットワークで，データ転送用と制御用とに異なるウェルノウンポート番号が割り当てられているプロトコルはどれか。

ア FTP
イ POP3
ウ SMTP
エ SNMP

ここまで見てきたように、正解はア（FTP）です。

FTP (File Transfer Protocol) は、ファイルを転送するためのプロトコルですが、実は2つのポート（部屋）を同時に使うという珍しい特徴を持っています。

制御用コネクション（ポート21番）：
- 「ログインします」「ファイル一覧をください」「ダウンロードを開始します」といった命令（コマンド）のやり取りに使います。
- 司令塔のような役割です。
データ転送用コネクション（ポート20番）：
- 実際にファイルの中身（データ）を送受信するためだけに使います。
- 命令を受けて、ひたすら荷物を運ぶ役割です。

このように、「司令塔（制御）」と「運搬係（データ）」で別のポート（21番と20番）を使い分けているのがFTPの大きな特徴です。
大量のデータを送っている最中でも、制御用の回線が空いているため、「途中で転送を中止する」といった命令をスムーズに通すことができます。

不正解の選択肢も、試験に頻出の超重要プロトコルです。これらは基本的に1つのポートで通信を行います。

選択肢	プロトコル名	ポート番号	役割・覚え方
イ	POP3 (Post Office Protocol version 3)	110	メール受信に使います。郵便局（Post Office）に取りに行くイメージ。語呂合わせ：110番（ひゃくとおばん）でポストに行く。
ウ	SMTP (Simple Mail Transfer Protocol)	25	メール送信（転送）に使います。語呂合わせ：25（ニコニコ）動画を送るSMTP。
エ	SNMP (Simple Network Management Protocol)	161 / 162	ネットワーク機器の監視・管理に使います。ルータやサーバが「生きてるか？」「混雑してないか？」をチェックします。 ※監視にはUDPを使用します。