プロジェクトキャンバスにおける「資源(Resource)」とは何か?
プロジェクトキャンバスにおける「資源(Resource)」
プロジェクトマネジメントの中で「資源(Resource)」という場合は、「ヒト・モノ・カネ」の物的資源、人的資源の両方を意味します。
しかし、プロジェクトキャンバスの中で「資源(Resource)」という場合は、人的資源のことを意味します。モノとカネについては、「計画」や「投資」の項目で論じられることになります。
良いチームを作るツール
プロジェクトキャンバスの提唱者であるアントニオ・ニエト=ロドリゲス(Antonio Nieto-Rodriguez)は人的資源の中でも、チームに注目しています。
より良いチーム作りのために、以下のツールが活用できます。
専心と献身のマトリックス
「誰にプロジェクト・マネジャーを任せるのか?」はプロジェクトの成否を大きく左右する重要な決定です。その選定基準の1つが「専心と献身のマトリックス(Dedication and commitment matrix)」です。
専心とは「どのくらいの時間をプロジェクトのために確保することができるか?」を意味し、献身は「プロジェクトの成功にどれだけ意欲的に関与することができるか?」を意味します。
この2つの軸でチーム・リーダーを選ぶのが、専心と献身のマトリックスです。
専心と献身のマトリックスについては、下記の記事もご参照ください。
高性能チーム(High-performing team)を作る10個のチェックリスト
プロジェクトキャンバスの提唱者であるアントニオは、高性能チームを作る10個のチェックリストを紹介しています。
- 導入(Introduction)
チームには、顔を合わせてお互いを知る時間がある - 目標設定(Goal-setting)
すべてのチーム・メンバーが、プロジェクトとチームの目標設定に参加する - 基本ルール(Ground rules)
チームのふるまいや価値について期待される事項が定義され、書き留められて共有されている - チームのアイデンティティ(Team identity)
チームは主な目的と期待されるゴールを説明することができる
事の勝敗はチームの勝敗であり、個人のものではない - 貢献(Contribution)
チーム・メンバーは自分の専門分野に責任を負い、プロジェクトの目標を達成するためにどのように積極的に貢献できるかを認識している - 問題解決とリスクテイキング(Problem-solving and risk-taking)
チームには問題解決をする文化があり、リスクをとることが奨励されている
そして、個人は責められることなく、罰せられることもない - 共同意思決定(Joint decision-making)
チームは全体の指示を得て、タイムリーに意思決定をすることができる - 対立への対処(Conflict-handling)
チーム・メンバーはプロジェクト・リーダーとの意見対立も含め、対立意見を遠慮なく表明することができる
対立はチーム内の関係を損なうことなく、タイムリーかつ直接的な方法で解決される - フィードバック(Feedback)
チームと個人の両方が、定期的にフィードバックを受け取り、継続的な改善につなげるというマインドセットがある - リーダーシップ(Leadership)
プロジェクト・マネジャーとエグゼクティブ・スポンサーは高性能チームのルールをモデル化し、体現する
RACIチャート
RACIチャートとは、プロジェクトのチームメンバーの役割と責任を明らかにするために使用される手法であり、責任分担マトリックス(RAM)の一種です。「RACIマトリックス」と呼ばれることもあります。
“RACI”は“Responsible(実行責任)”、“Accountable(説明責任)”、“Consult(相談対応)”、“Inform(情報提供)”の頭文字を並べたものであり、アクティビティや成果物に対しての役割を意味しています。
RACIチャートについては、下記の記事もご参照ください。
参考
- Antonio Nieto-Rodriguez, Harvard Business Review Project Management Handbook: How to Launch, Lead, and Sponsor Successful Projects Harvard Business Review Press, 2021.