自分にプロジェクトの仕事が集中してしまった時の対処法
いい人ほど損をする?
プロジェクトのタスクが自分にだけ集中したり、そもそも大量のプロジェクトを押し付けられたりすることは通常の業務だけでなく、業務外でもよくあることです。
「いい人ほど損をする」と言いますが、「あいつになら任せても反発しないから」とあれこれ任されるのは本当に苦痛ですよね。
時にはあきらめて逃げてしまうことも手になりますが、今回はこうした状況から逃げず、プロジェクトの仕事が自分に集中してしまった時の対処法を考えていきます。
プロジェクト・チームの空き状況を確認する
自分に仕事が集中しているなと感じたら、プロジェクト・チームの空き状況を確認していきます。
プロジェクトの仕事が集中する要因の1つに、お互いのスケジュールを把握していないという状況が挙げられます。多くの人は「自分は他の人より忙しい」と感じるものなので、プロジェクトのメンバーに選ばれるとついつい「私は忙しいんだからあなたやっといてよ」と仕事を押し付けてしまいます。
そのため、まずはプロジェクトのメンバー全員でスケジュールを共有し、お互いの空き状況を確認していきます。
きっとあなたもスケジュールがいっぱいいっぱいなはずなので、それを共有するとともに、あなたがやるはずだった仕事を誰に割り振るのかを決めていきます。
最終的には資源カレンダーを作成し、いつ誰が作業をするのかを資料に残していきます。
責任の明確化を行う
次に責任の明確化を行っていきます。
この作業にはRACIチャートが役に立ちます。RACIチャートとは、チームメンバーの役割と責任を明らかにするために使用される手法です。
アクティビティ | プロジェクトメンバー | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
阿部 | 伊藤 | 佐藤 | 鈴木 | 田中 | 野村 | |
要件定義 | C | A | I | I | I | R |
設計 | R | I | I | C | C | A |
開発 | A | – | R | – | R | I |
テスト | I | I | C | R | A | C |
作成する方法は簡単で、プロジェクトのメンバーと作業内容を表にし、実行責任者をR、説明責任者をA、相談対応してくれる人をC、情報提供してくれる人をIに役割分担していきます。
こうしたRACIチャートをプロジェクトのメンバーに共有することで、誰が何をするのかが明確になり、プロジェクトへ協力してもらえる可能性が高まります。
RACIチャートについては、下の記事もご参照ください。
プロジェクトが失敗すると困る人に共有する
プロジェクトの失敗で困る人は誰だ?
資源カレンダー、RACIチャートが作成できたら、プロジェクトが失敗したら困る人物を探し、その人と共有します。不利益を被る人物と言い換えてもいいかもしれません。
プロジェクトが失敗するともちろん自分も怒られてしまいますが、多くの場合、自分とは別にプロジェクトが失敗すると困る人物がいます。
例えば、あなたの上司やプロジェクトの立ち上げをした人物です。こうしたプロジェクトの利害関係者をステークホルダーと呼びます。
このステークホルダーと資源カレンダーやRACIチャートを共有し、必要になればプロジェクトのメンバーに喝を入れてもらう約束をしてもらうほうがよいかもしれません。
「チクリ」と言われることを恐れない
ステークホルダーはだいたいの場合、社長や部長などの上席者なので、「チクリ」、つまり告げ口するような人物と思われないか心配になるかもしれません。
しかし、気にする必要はありません。ステークホルダーを巻き込むというのはプロジェクトマネジメントでは必須の行為です。
もし心無い人から「あなた○○部長にチクったでしょ!」と言われても、「プロジェクト・マネジャーとして、上司に計画と進捗を報告したまでです」と毅然と答えることが大切です。
ブラックか否かの大きな判断軸
今回は自分にプロジェクトの仕事が集中してしまった時の対処法を考えていきました。
資源カレンダーをつくり、RACIチャートを作り、それを上司などのステークホルダーに共有すれば、あなたに仕事が集中する状況を改善することができます。
自分に仕事が集中する状況というのはよくも悪くもブラック企業か否かを判断する重要な基準になります。
もし資料を作成し、上司に相談して状況が改善されたら、その組織には何か問題があっても改善していく力があります。
しかし、問題なのはこうした資料をつくったり、上司に相談したりしても全く受け入れられないという状況です。残念ながらこうした体質は一朝一夕では変わらないものです。
そのため、
- みんながスケジュールを共有してくれない!
- RACIチャートを作っても無視される!
- そもそもステークホルダーの部長が私に仕事を押し付けてくる!
という状況があれば、そのような会社とはさっさとおさらばしてしまった方がよいかもしれません。