コミュニケーション要求事項分析とは何か？プロジェクト・ステークホルダーの立場や環境を分析し、情報ニーズを明確にする分析手法

2021年12月7日2022年10月14日

1. コミュニケーション要求事項分析の概要
- 1.1. ステークホルダー・エンゲージメント計画書
- 1.2. ステークホルダー登録簿
2. コミュニケーション要求事項分析のチャネル算出方法
3. コミュニケーション要求事項分析の分析方法

コミュニケーション要求事項分析の概要

コミュニケーション要求事項分析とは、プロジェクト・ステークホルダーの立場や環境を分析し、情報ニーズを明確にする分析手法です。
プロジェクトメンバーとクライアントでは必要とする情報が異なるように、コミュニケーションにおいても各人の立場や環境について検討することに意味があると考えられています。
そのため、コミュニケーション要求事項分析では以下のコミュニケーション要求事項を情報源に要求事項を分析し、要件定義を行います。

ステークホルダー・エンゲージメント計画書
ステークホルダー登録簿
組織図（プロジェクト組織とステークホルダーの責任、関係および相互依存性を図式化した資料）
開発アプローチ（プロジェクトに関係する専門分野・部門・特殊技能）
プロジェクトへの参加人数、所在地といったロジスティックスに関する事項
内部の情報ニーズ（組織内のコミュニケーションによる情報）
外部の情報ニーズ（メディア・公衆・コントラクターとのコミュニケーションによる情報）
法的要求事項

以下、「ステークホルダー・エンゲージメント計画書」と「ステークホルダー登録簿」について簡単に説明します。

ステークホルダー・エンゲージメント計画書

ステークホルダー・エンゲージメント計画書は、ステークホルダーに、プロジェクトへの生産的な関与を促すために、戦略や方針を定めたものです。
コミュニケーションを通してステークホルダーの関心を分析し、その内容に応じて対応方法や頻度を策定した資料となります。

ステークホルダー登録簿

ステークホルダー登録簿は、プロジェクトのステークホルダーを特定し、その役割や影響度を査定・分類した資料です。
ステークホルダーとのコミュニケーション活動を計画するために用いられます。

コミュニケーション要求事項分析のチャネル算出方法

プロジェクト内でコミュニケーションに関与する人数が増加すると、その複雑さから問題発生の原因も増えやすくなります。
そこで、「一対一」「一対多」「多対多」などのコミュニケーション・チャネルを把握することが必要です。
コミュニケーション・チャネルやパスの数は、「N人が全員と個別にコミュニケーションするチャネル数＝N（Nー1）／2」で求められます。

コミュニケーション要求事項分析の分析方法

コミュニケーション要求事項分析によってコミュニケーションの取り組み方を明確にする方法には、以下の３つが該当します。

コミュニケーション技術
コミュニケーションモデル
コミュニケーション方法

以下、これら３つの方法について見ていきましょう。

コミュニケーション技術

コミュニケーション技術とは、コミュニケーションを図る際のメディア全般（電話・メール・SNSなど）を意味します。
コミュニケーション技術の選定で考慮すべき要因は以下の通りです。

情報ニーズの緊急性：伝達する情報の緊急性・頻度・形式はプロジェクトやフェーズによって異なるため
技術の可用性と信頼性：生産物の配布に必要な技術は、プロジェクト全体の全てのステークホルダーにとって互換性があり、利用可能・アクセス可能でなければいけないため
利便性：プロジェクト参加者に適切なものであり、必要に応じて利用に関するトレーニング計画が必要なため
プロジェクト環境：コロケーションなのかバーチャルなのか、タイムゾーン、使用言語など、コミュニケーションの効率を制限する可能性を考慮する必要があるため
情報の機微性と機密性：プロジェクト参加者がセキュリティや機密情報の保護を確実にするため

コミュニケーションモデル

コミュニケーションモデルとは、コミュニケーションの仕組みを理解するのに役立つプロセスの体系的な表現のことです。
コミュニケーション要求事項分析においては、情報送信者の責任と情報受信者の責任を明確にする役割を果たします。
つまり、コミュニケーションモデルを検討することで、根本的なコミュニケーションロスを軽減することに繋がります。