PRUBモデルとは何か?プロジェクトの結果、ユーザー、便益を結びつける手法を解説
PRUBモデルとは
PRUBモデルとは、プロジェクトにおける便益(Benefit)の役割を示したモデルです。
PRUBモデルでは、現在実施していることを検証し、プロジェクトが提供されるか、期待される価値を生み出すかどうかを確認します。
「PRUB」は「Projects(プロジェクト)」、「Results(結果)」、「Users(ユーザー)」、「Benefits(便益)」の頭文字に由来しますが、その名のとおり、PRUBモデルはプロジェクト、結果、ユーザー、便益に注目してプロジェクトの状況を整理します。
このPRUBモデルは、ニュージーランドのフィル・ドライバー(Phil Driver)が発案したモデルで、経営戦略の検証のために使われます。
経営戦略では、目標を達成するために、プロジェクトを実施します。
しかし、プロジェクトの中には、プロジェクトが完了して目的の成果物ができたものの、誰も使用しなかったり、恩恵を受けなかったりすることがあります。
こうした事態が発生してしまうのは、プロジェクトで得られる結果と便益が結びついていないことや、得られた便益をユーザーが求めていないことが原因として挙げられます。
こうしたトラブルを防ぐのが、PRUBモデルです。
PRUBモデルの例
上述のとおり、PRUBモデルはプロジェクト、結果、ユーザー、便益に注目してプロジェクトの状況を整理します。
表1は、いくつのプロジェクトをPRUBモデルに当てはめたものです[1]Antonio Nieto-Rodriguez, Harvard Business Review Project Management Handbook: How to Launch, Lead, and Sponsor Successful Projects (Harvard Business Review Press, 2021), p.90.。
プロジェクト | 産科病棟の リニューアル | 駐車場工事 | 新しい 人事システム |
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結果 | 最新の産科病棟 | 森の近くの駐車場 | 従業員との新しい コミュニケーション |
ユーザー | 産科医と看護師 | 森に来る人 | 従業員と管理者 |
便益 | 母子の健康状態の 改善 | 心身の健康 | より熱心になった従業員 従業員のパフォーマンス改善 |
表1のように、PRUBモデルはプロジェクトで得られる結果、使用するユーザー、期待される便益を一覧化することで、プロジェクトの意味を再確認することができます。
便益は金銭的なものだけでなく、心身の健康などの金銭面以外のものも含まれます。
PRUBモデルはなぜ必要なのか?
近年では新しいプロジェクトマネジメントの枠組みとして、プロジェクトキャンバスが注目されています。
プロジェクトキャンバスでは、プロジェクトを支える土台として「便益(Benefit)」を取り扱っています。
従来、プロジェクトがもたらす便益については、プロジェクトの発起人やスポンサーだけが責任を負っていました。
しかし、近年ではプロジェクトを意味のあるものにするためにも、プロジェクト・マネジャーも期待される便益を把握し、その実現に取り組むことが求められています。
プロジェクトの便益を把握するため、PRUBモデルは簡潔な情報を提供し、状況の整理をサポートしてくれます。
参考
書籍
- Antonio Nieto-Rodriguez, Harvard Business Review Project Management Handbook: How to Launch, Lead, and Sponsor Successful Projects Harvard Business Review Press, 2021.
Webページ
- Dr. Phil Driver | PMWorld Library(2023年1月30日閲覧)
- Open Strategy – PRUB | Art of change making(2023年1月30日閲覧)
注
↑1 | Antonio Nieto-Rodriguez, Harvard Business Review Project Management Handbook: How to Launch, Lead, and Sponsor Successful Projects (Harvard Business Review Press, 2021), p.90. |
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