PRUBモデルとは何か?プロジェクトの結果、ユーザー、便益を結びつける手法を解説

2023年1月31日

PRUBモデルとは

PRUBモデルとは、プロジェクトにおける便益(Benefit)の役割を示したモデルです。
PRUBモデルでは、現在実施していることを検証し、プロジェクトが提供されるか、期待される価値を生み出すかどうかを確認します。
「PRUB」は「Projects(プロジェクト)」、「Results(結果)」、「Users(ユーザー)」、「Benefits(便益)」の頭文字に由来しますが、その名のとおり、PRUBモデルはプロジェクト、結果、ユーザー、便益に注目してプロジェクトの状況を整理します。

このPRUBモデルは、ニュージーランドのフィル・ドライバー(Phil Driver)が発案したモデルで、経営戦略の検証のために使われます。

経営戦略では、目標を達成するために、プロジェクトを実施します。

しかし、プロジェクトの中には、プロジェクトが完了して目的の成果物ができたものの、誰も使用しなかったり、恩恵を受けなかったりすることがあります。

こうした事態が発生してしまうのは、プロジェクトで得られる結果と便益が結びついていないことや、得られた便益をユーザーが求めていないことが原因として挙げられます。

こうしたトラブルを防ぐのが、PRUBモデルです。

PRUBモデルの例

上述のとおり、PRUBモデルはプロジェクト、結果、ユーザー、便益に注目してプロジェクトの状況を整理します。

表1は、いくつのプロジェクトをPRUBモデルに当てはめたものです[1]Antonio Nieto-Rodriguez, Harvard Business Review Project Management Handbook: How to Launch, Lead, and Sponsor Successful Projects (Harvard Business Review Press, 2021), p.90.

プロジェクト産科病棟の
リニューアル
駐車場工事新しい
人事システム
結果最新の産科病棟森の近くの駐車場従業員との新しい
コミュニケーション
ユーザー産科医と看護師森に来る人従業員と管理者
便益母子の健康状態の
改善
心身の健康より熱心になった従業員
従業員のパフォーマンス改善
表1:PRUBモデルの例

表1のように、PRUBモデルはプロジェクトで得られる結果、使用するユーザー、期待される便益を一覧化することで、プロジェクトの意味を再確認することができます。

便益は金銭的なものだけでなく、心身の健康などの金銭面以外のものも含まれます。

PRUBモデルはなぜ必要なのか?

プロジェクトキャンバスのイメージ画像

近年では新しいプロジェクトマネジメントの枠組みとして、プロジェクトキャンバスが注目されています。
プロジェクトキャンバスでは、プロジェクトを支える土台として「便益(Benefit)」を取り扱っています。

従来、プロジェクトがもたらす便益については、プロジェクトの発起人やスポンサーだけが責任を負っていました。
しかし、近年ではプロジェクトを意味のあるものにするためにも、プロジェクト・マネジャーも期待される便益を把握し、その実現に取り組むことが求められています。

プロジェクトの便益を把握するため、PRUBモデルは簡潔な情報を提供し、状況の整理をサポートしてくれます。

参考

書籍

  • Antonio Nieto-Rodriguez, Harvard Business Review Project Management Handbook: How to Launch, Lead, and Sponsor Successful Projects Harvard Business Review Press, 2021.

Webページ

1Antonio Nieto-Rodriguez, Harvard Business Review Project Management Handbook: How to Launch, Lead, and Sponsor Successful Projects (Harvard Business Review Press, 2021), p.90.