「うちの子、誰に似たの?」 遺伝の科学が教える、子どもの”個性”との向き合い方

「この子はお父さんに似て、のんびり屋さんね」
「うちは姉妹なのに、性格が全然違うのはなんで?」

子育てをしていると、お子様の「個性」について、そんな風に感じることがよくありますよね。
こんにちは、青梅市梅郷であつまラボを運営している山脇です。

こうした「生まれつきの個性」について、ひと昔前は「気のせい」や「育て方の問題」とされることもありましたが、最近の科学技術の進歩、とくに「行動遺伝学」という分野の研究によって、個人の特性や才能に「遺伝」が強く影響していることが分かってきました。

「えっ、じゃあ子どもの将来は遺伝で全部決まっちゃうの?」
そう不安に思われるかもしれませんが、話はそう単純ではありません。むしろ、その逆です。

今回は、最近の科学が明らかにした「遺伝と子育て」の興味深い関係について、安藤寿康先生の『教育は遺伝に勝てるか?』(朝日新書) などを参考に、分かりやすくご紹介します。

親と「似ている」のに「違う」のはナゼ?

遺伝というと、血液型のように「A型とB型の親からAB型の子が生まれる」といった、決まったルールを想像しがちです。

でも、性格や才能といった複雑なものは、もっと多くの遺伝子が関わっています。
ここで、すごくシンプルな例え話をしてみましょう。

もし、人間の特性を決める遺伝子が4種類(A, B, C, D)しかなかったら?

  • A を持つ人は「賢い」
  • B を持つ人は「体が強い」
  • C を持つ人は「動きが素早い」
  • D を持つ人は「やさしい」

そして、一人の人間は遺伝子を2つ持つとします。

お父さんが「A(賢い)」と「B(強い)」を持ち、
お母さんが「C(素早い)」と「D(やさしい)」を持っていた場合。

子どもは、お父さんから1つ、お母さんから1つ遺伝子をもらうので、生まれてくる可能性があるのは、以下の4パターンです。

  • A+C の子: 賢くて、素早い
  • A+D の子: 賢くて、やさしい
  • B+C の子: 強くて、素早い
  • B+D の子: 強くて、やさしい

高校生物で習った「メンデルの法則」のようですね。
この例を見て、どう思われますか?
どの子も両親の要素(A,B,C,D)を受け継いでいますが、両親(「賢くて強い」「素早くてやさしい」)とは、まったく違う組み合わせの個性(例:「賢くて素早い」)を持った子どもが生まれています。

[かけあわせのイメージ画像]

遺伝の組み合わせは「天文学的」

現実の世界では、人間の特性に関わる遺伝子の種類は4種類どころか、数万個あると言われています。
その組み合わせパターンは、まさに天文学的な数字で、人間の想像をはるかに超えます。

つまり、現代の科学が明らかにしたのは、

  1. 「人間の個性は、遺伝の影響を強く受ける」という事実
  2. 「でも、両親からどんな遺伝子の組み合わせを受け継ぐかは、誰にも予測できない」という事実

この2つです。
「お父さんに似ている部分もあるけれど、根本的には別の一人の人間」というのは、感覚的にも、そして科学的にも真実だったわけですね。

私たち大人ができること ~ 決めつけず、環境を用意する ~

「遺伝の影響が強いなら、教育やしつけは意味がないの?」
いえ、そんなことはありません。

遺伝がもたらすのは、あくまで「才能の種(可能性)」のようなものです。
その種が芽を出すかどうか、どれだけ大きく育つかは、その後の「環境(教育や体験)」にも左右されます。

例えば、「音楽的な才能の種」を持っていたとしても、楽器に触れる機会(環境)が一度もなければ、その才能は芽吹かないままかもしれません。
逆に、「運動の才能の種」がそこまで強くなくても、楽しいスポーツ体験(環境)がきっかけで、運動が大好きになり、結果的に高い能力を身につけることもあります。

そうした中で、私たち大人(親や教育者)ができる最も大切なこと。
それは、「うちの子は〇〇が苦手だから」と決めつけたり、「親の私ができなかったから、あなたも無理」と可能性を狭めたりすることではありません。

その子がどんな「才能の種」を持っているかは、誰にも分からないのですから、
いろいろな体験ができる「環境」を用意し、その子が「これ、面白い!」「もっとやりたい!」と夢中になれるもの(=その子の種と環境がマッチした瞬間)を見つけ、応援してあげることではないでしょうか。

あつまラボが「ラボ」である理由

あつまラボが、一方的に何かを教える「教室」ではなく、子どもたちが主体的に探求する「ラボ(実験室)」という名前なのも、まさに同じ理由です。

  • AIとゲームを作る体験
  • レゴ®で自由にものづくりをする体験
  • ラボの本で、自分の興味を深掘りする体験
  • 学校の勉強の「わからない」を、一緒に考える体験

私たちは、プログラミングやSTEAM教育という切り口で、子どもたちに多様な「環境」を提供しています。
その中で、お子様自身が「これだ!」と思える才能の芽を見つけ、自ら伸ばしていく。

あつまラボが、青梅市の子どもたちにとって、そんな「自分だけの可能性」を発見できる場所になれれば、これほど嬉しいことはありません。

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