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「教育は遺伝に勝てるか?」衝撃の結論と、私たちが子どもにできること【読書感想】

こんにちは、あつまラボ運営の山脇です。

あつまラボには、子どもたちの教育や成長に関する本もたくさん置いてあります。
今回は、行動遺伝学の第一人者である安藤寿康先生の著書『教育は遺伝に勝てるか?』(朝日新書)を読んで、非常に考えさせられる内容だったのでシェアしたいと思います。

この本の内容を、乱暴にたった2行でまとめてしまうと、こうなります。

Q.「教育は遺伝に勝てるか?」
A.「勝てませんでした」

…衝撃的ですよね。
しかし、読み進めていくと、これは決して「子育てには意味がない」という悲観的な話ではないことが分かってきます。

「蛙の子は蛙」…という単純な話ではない

最近のDNA解析や行動遺伝学の研究では、「人間の能力や性質の多くは遺伝の影響を受ける」ということが科学的に証明されつつあるそうです。

「じゃあ、親が運動音痴なら子どももダメなの?」
「私が勉強苦手だから、この子も…」

そう思ってしまうかもしれませんが、ここで重要なのは「遺伝=親のコピー」ではないということです。

一人の人間は無数の遺伝子の組み合わせでできています。
両親から遺伝子を受け継ぐ際、その組み合わせパターンは天文学的な数になり、親とは全く異なる特性を持った「別の一人の人間」が誕生します。

つまり、「遺伝で決まる部分は多いけれど、どんな子が生まれるかは誰にも予測できない(親とは違う)」というのが、科学的な事実のようです。

ですから、子育てにおいては「自分に似ているはず」という思い込みを捨て、「似ている部分はあるけれど、全く別の人格なんだ」と尊重して接することが大切なんですね。

「変えられるもの」と「変えられないもの」

本の中では、ふたご(一卵性と二卵性)の研究を通して、遺伝と環境の影響度合いが紹介されていました。

  1. 遺伝の影響「大」: パーソナリティ(性格)、知能
  2. 遺伝の影響「中」: 学力
  3. 遺伝の影響「小」: 親への愛着、物質依存

ここから分かるのは、「性格」や「知能」といった基本的な部分は、周りがいくら変えようとしても、遺伝の影響が非常に強い(変えにくい)ということです。

一方で、希望が持てるデータもあります。
それは、「親への愛着」は遺伝で決まらないということです。

徳川家康も気づいていた? 親子関係の真理

どんな遺伝子を持って生まれた子であっても、良好な親子関係(アタッチメント)は、環境次第で築くことができます。そして、この「安心感」こそが、子どものチャレンジ精神の土台となります。

ここで、少し面白いエピソードをご紹介します。
江戸幕府を開いた徳川家康は、子育てについてこんな言葉を残していると言われています(※諸説あります)。

「子どもを優しく育てても、厳しく育てても、育つ結果にあまり変わりはない。
それならば、親子関係が良好である(優しく育てる)方が良い」

家康自身は息子に厳しかったとも言われますが、晩年の反省だったのかもしれません。
遺伝子解析などない時代に、「子どもがどう育つかは親の思い通りにはならない(=遺伝の影響)」と悟り、「だったら仲良く過ごせる方が幸せだよね(=愛着の形成)」という真理にたどり着いていたとしたら、すごい慧眼ですよね。

「環境」格差をなくすために、あつまラボができること

さて、多くの親御さんが気になる「学力」についてです。
学力は、遺伝が約50%、残りの約50%は環境が影響すると言われています。

ここで残酷な現実として、「親の経済力」が子どもの学力に影響することは否定できません。
それは単に「私学に通えるから」「高い塾に行けるから」というだけでなく、本を読んであげたり、色々な体験をさせたりといった「文化的な環境」を用意できる余裕があるか、という点が大きいのでしょう。

環境さえ整えば、あとはその子の遺伝(才能)次第で伸びていきます。
しかし、経済的な理由で「環境(スタートライン)」にすら立てないとしたら、それはとても悲しいことです。

あつまラボが、参加費原則無料で開催している理由は、まさにここにあります。

「プログラミングやものづくりに興味があるけど、高いお教室には通えない」
「家にパソコンやレゴがないから、体験させてあげられない」

そんなご家庭に、平等に「環境」を提供したい。
遺伝による才能の違いはあれど、「機会」だけは平等でありたい。

あつまラボは、青梅市の子どもたちが、家庭の事情に関わらず、自分の可能性(遺伝子のスイッチ)をオンにできる場所であり続けたいと思っています。

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